近年、Instagramの利用者は増えている中で、アルゴリズムを正しく理解して運用できているか不安といった声も耳にします。 アルゴリズムを理解せずにアカウント設計・投稿・分析をすると成果の出るアカウント運用が出来ずらくなってしまいます。
そこで本章ではアルゴリズムとは何か、またアルゴリズムを理解した上でどのような指標を見て、具体的にどのようなアクションを投稿に落とし込めばいいか解説していきます。
Instagramにおけるアルゴリズムとは?
アルゴリズムとは投稿を表示させる仕組み
アルゴリズムは、Instagramがミッションに基づきよりユーザーの関心度や親密度が高い投稿を優先的に表示させるための仕組みです。
Instagramのミッションは「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」です。Instagramとしては「ユーザーにとって関心度が高い投稿や情報を届けたい」という思いがありますが、日々莫大な投稿が溢れておりユーザーは投稿をすべて人の手で管理ことはできません。そこでミッションに沿ったアルゴリズムを開発し、投稿を表示しています。
コンテンツをより細かく精査するためのシグナル
前述したようにInstagramではユーザーに対する投稿の表示順位を決めるためにアルゴリズムを開発しており、表示順位の判断には投稿内容、投稿者、ユーザーの好みといった数千個の情報「シグナル」を活用してます。
このシグナルを基にユーザーが興味を持ち、その投稿に「いいね」や「保存」などの何かしらのアクションをすることを予測しています。ユーザーのアクション=シグナルが自分たちの投稿への関連性や親密度が高いほど、ほかの投稿も優先的に表示されるようになります。
フォロワーや接点を増やすには投稿を見てもらうことがスタート
Instagram運用を行う際にはInstagramのミッションやアルゴリズムを理解し、運用に活かしていくことが重要といわれています。
特に企業におけるInstagram活用では、まずアカウントや投稿を見つけてもらい認知を獲得していくことが求められ、中でも非フォロワーに投稿を見てもらう必要があります。
さらにInstagram上の認知だけでなく購買につなげていくには、フォロワーに対してもフィードやストーリーズなど様々な角度から投稿を見てもらったり、投稿を見てもらえる頻度を増やす必要があります。
つまりInstagramではまずは投稿を見てもらうことが重要で、投稿を多くの人に届けるために重要なのがアルゴリズムという考え方です。
投稿の種類によってアルゴリズムやシグナルは異なる
Instagramではフィード(ホーム)、ストーリーズ、発見タブ、リールそれぞれで表示する投稿・表示する対象が異なり、独自のアルゴリズムが使われています。
フィード(ホーム)
・フィード投稿・おすすめコンテンツ・広告・動画
・フォロワー・非フォロワーに表示
ストーリーズ
・ストーリーズ投稿
・フォロワーに表示
リール
・リール投稿
・フォロワー・非フォロワーに表示
発見タブ
・フィード投稿・リール投稿
・非フォロワーに表示
【ホーム】フィード投稿のアルゴリズム
フィード(ホーム)の特徴
- ユーザーがフォローしているアカウントのコンテンツ(=フォローしている)+興味を持ちそうなアカウント(=フォローしていない)のコンテンツが表示される仕組み
- 投稿は、おすすめ投稿もあれば広告も混ざって表示される
- フォーマットも、写真、動画、カルーセルとさまざま
- フォローしているアカウントの投稿としていないアカウントの投稿はバランスよく混ざるようになっている
フィード(ホーム)において重要なシグナル
フィード(ホーム)上で表示される対象の投稿は、フォロー中のアカウントの最新の投稿とまだフォローしていないが興味のありそうなアカウントの投稿です。その中でシグナルによって表示する投稿の優先順位付けが行われます。最も関心度の高い投稿が上部に表示されます。
中でも重要なシグナルは以下です。
- 閲覧者のアクティビティ
投稿に対してユーザーが行ったアクションです。具体的には「いいね」、「シェア」、「保存」、または「コメント」が含まれます。 - 閲覧者と特定のユーザーとのやり取りの履歴
お互いの投稿に「コメント」しているかどうかなどの履歴です。ある特定のユーザーの投稿に対して閲覧者がどのくらい興味があるかを判断します。 - 投稿に関する情報
投稿の人気度と一般的な投稿の情報のことです。
人気度とは、何人がその投稿に「いいね」したか(投稿へのいいね数)や投稿へのアクション(「いいね」、「コメント」、「シェア」、「保存」)がどれだけ早く実行されたか(投稿へのエンゲージメントの初速)を含んでいます。
一般的な投稿の情報とは、投稿日時や投稿に付けられた位置情報などが含まれます。 - 投稿者に関する情報
直近の数週間で投稿者が他のユーザーと何回やり取りしたかの情報です。 投稿者がユーザーとやり取りしたコメント回数などが含まれます。投稿者に対してユーザーがどのくらい興味を持っているかを判断します。
つまりフィード(ホーム)では、ユーザーがその投稿に対して行ったアクションだけでなく、投稿を見た他のユーザーからのエンゲージメント数やエンゲージメントの初速が表示順位に寄与していると考えられます。
重要視される5つのアクション
上記のシグナルを測り表示順位を決めるためのアクションが存在します。十数個ほどのアクションから推測され、アクションが積み重なるほどその投稿はフィードでより上位に表示されます。
フィード(ホーム)で特に表示順位を高めるアクションは以下です。
- 投稿を数秒見る
- 「コメント」する
- 「いいね」する
- 「シェア」する
- 投稿者のプロフィール写真をタップする
5つのアクションを再現するためにやるべきこと
フィード(ホーム)で重視されている5つのアクションを投稿に落とし込み、具体的にやるべき対策は下記です。
- 投稿を長く見てもらう
カルーセル投稿をする
画像と動画両方を活用して投稿を作る
読み物系の投稿にする - エンゲージメントを高める
ユーザーが直感的に「いいね」「コメント」「シェア」したくなるような投稿を作成する
ユーザーがよくInstagramを利用する時間帯を狙って投稿する
ユーザーが「いいね」「コメント」「シェア」をして人に教えたくなるような豆知識系コンテンツを作成する - 投稿者のプロフィール写真をタップする
プロフィールを読んでみたくなるような内容をキャプションに記載する
メンションして記載することでワンクリックでプロフィールに飛べる導線にする
珍しいプロフィール写真にしておいてクリックしてもらう
【ストーリーズ】ストーリーズ投稿のアルゴリズム
ストーリーズの特徴
- 日常の出来事をシェアし、気になる人や興味のあることに対して気軽に相互コミュニケーションを取ることが出来る
- フォローしている人のストーリーズが親密度が高い順に表示される
- ストーリーズと広告が表示される
- 親密度を高める機能が充実している(アンケート、スタンプ、クイズ、ミュージックなど)
ストーリーズにおいて重要なシグナル
ストーリーズではフォローしている人がシェアしたストーリーズ(広告除く)の中からコミュニティガイドラインに違反しているものを取り除いた後、さまざまなシグナルを考慮して表示順を決めています。
- 閲覧の履歴
各アカウントのストーリーズを閲覧している頻度。ユーザーが見逃したくないと思いそうなアカウントのストーリーズが優先的に表示される。 - エンゲージメントの履歴
そのアカウントのストーリーズに対して「いいね」やDMの送信などのアクションを実行している頻度。 - 関係の近さ
投稿者との関係値。総合的な関係性とその人と友達または家族である可能性を検討している。
重要視される3つのアクション
ストーリーズでは関連性が高く、価値が高いと思ってもらえそうなストーリーズについて一連の予測を立てています。
ストーリーズで特に重視されているアクションは以下です。
- ストーリーズをタップして見る可能性
- ストーリーズに返信する可能性
- 次のストーリーズに進む可能性
3つのアクションを再現するためにやるべきこと
ストーリーズで重視されているアクションを投稿に落とし込み、具体的にやるべき対策は下記です。
- エンゲージメントを高める
DMのやり取りを積極的にする
次のストーリーズを読みたくなるような文章構成 - リアクションをしてもらう
スタンプボタンをタップしやすい右下に設置する
回答したくなるような質問を用意する
インスタ映えなものや映えるメニューを投稿する - 次のストーリーズへタップして進む
画像・動画の冒頭に引きつける言葉を入れて投稿する
静止画ではなく動画を活用して投稿する
【発見タブ】表示される投稿のアルゴリズム
発見タブの特徴
- 発見タブにはまだフォローしていないアカウントのおすすめのコンテンツ+過去に「いいね」した投稿や動画が表示されている
- フィード投稿とリール投稿が混ざっている
- 広告投稿も混ざる
- おすすめに関するガイドラインに沿っていない投稿は表示しない
発見タブにおいて重要なシグナル
発見タブでは過去のアクティビティ(「いいね」、「保存」、「シェア」、「コメント」をした投稿など)から興味を持ってもらえそうなコンテンツを見つけ、ランク付けします。
フィードやストーリーズのアルゴリズムと同じように、シグナルから投稿に対する興味の度合いを予測し表示順を決めています。
中でも重要なシグナルは以下です。
- 投稿に関する情報
人気度とは、何人がその投稿に「いいね」したか(投稿へのいいね数)や投稿へのアクション(「いいね」、「コメント」、「シェア」、「保存」)がどれだけ早く実行されたか(投稿へのエンゲージメントの初速)を含んでいます。
投稿へのいいね数やエンゲージメントの初速の重要度はフィードやストーリーズよりもはるかに高くなっています。 - 発見タブでのアクティビティ
これまで投稿にしてきたアクション(「いいね」、「保存」、「シェア」、「コメント」)+過去に発見タブの投稿にしたアクション(「いいね」、「保存」、「シェア」、「コメント」)
特定のタイプの投稿に対して反応を示していた場合はその投稿に似たコンテンツを多く表示する仕組みになっている。 - 投稿者とのやり取りの履歴
過去に投稿者と何らかの関わりを持ったことがあるかどうか。過去の関わりからその投稿者の投稿に対するおおまかな興味の度合いを測ります。 - 投稿者に関する情報
直近の数週間でほかの利用者がその投稿者に何回アクション(「いいね」、「保存」、「シェア」、「コメント」)をしたか。
この情報はさまざまな投稿者の中から魅力的なコンテンツを探すために使われている。
つまり、発見タブ内ではほかの場所に比べ以下が重要であると言えます。
- 投稿の人気度、つまり投稿へのエンゲージメント数やエンゲージメントの速さが発見タブへの表示に大きく寄与する
- 1投稿だけでなくアカウント自体へのエンゲージメント数を高め、魅力的と認識されるかどうかが発見タブへの表示に寄与する
重要視される3つのアクション
発見タブで特に重視されているアクションはおおよその重要度順に以下です。
- 「いいね」
- 保存
- シェア
3つのアクションを再現するためにやるべきこと
発見タブで重視されているアクションを投稿に落とし込み、具体的にやるべき対策は下記です。
- 「いいね」してもらう
「いいね」したくなる投稿をする ※いいねとは投稿に対して「好き」「面白い」「素敵」「分かる」といった直感的なアクションをするときに使われやすい。ライトな感情表現で使われることが多い。
例)
インスタ映えする投稿(直感的にアクションしやすい)
いいねを促すテキストを画像やキャプションに入れる(ユーザーがするべきアクションを誘導する) - 「保存」してもらう
投稿の中に保存を促すメッセージを付ける(「保存が便利」など)
保存したくなる投稿をする ※保存とは投稿に対して「役に立つ」「ためになる」「後で見返したい」と思ってもらえた場合に使われやすいアクション。欲しい商品や後で見たい情報の際に使われることが多い。
例)
まとめ投稿(有益な情報がまとまっている)
商品紹介の投稿(商品についてHPに行かなくてもチェックできる)
読み物などの投稿(読むのに時間がかかる) - 「シェア」してもらう
人に教えたくなる豆知識系コンテンツを作成する
【リール】リール投稿のアルゴリズム
リールの特徴
- ほとんどの投稿がフォローしていないアカウントの投稿
- 新しいものを発見しやすい、エンターテイメント性に優れた機能
- 利用者アンケートを通じ、正確にユーザーが気に入るようなリール動画を表示している
- おすすめに関するガイドラインに沿っていない動画は表示しない
リールにおいて重要なシグナル
リールでは過去のアクティビティ(「いいね」、「保存」、「シェア」、「コメント」をした投稿など)から興味を持ってもらえそうな動画を見つけて、興味の度合いを考慮して表示順を並べ替えています。
- あなたのアクティビティ
最近リール動画にしたアクション(「いいね」、「保存」、「再シェア」、「コメント」)
閲覧者と関連性が高そうなコンテンツを把握するために活用される。
リール動画に関する情報
動画のコンテンツに関する情報。具体的には動画で使われているオーディオトラックや映像、動画の人気度などが含まれる。 - 投稿者とのやり取りの履歴
リールはほとんどがフォローしていないアカウントの投稿なので、過去に関わりがある場合にはその投稿者の投稿に対するおおまかな興味の度合いが分かる。 - 投稿者に関する情報
投稿者の人気度。
フォロワー数やエンゲージメント率を考慮して、魅力的なコンテンツを探すために使われている。
重要視される4つのアクション
Instagramでは利用者に対して特定のリール動画が「見る価値があったか」アンケートを実施し、そのフィードバックを基に楽しいと思ってもらえるリール動画を正確に見極めています。
リールで特に重視されているアクションはおおよその重要度順に以下です。
- リール動画を「再シェア」する可能性
- リール動画を最後まで見る可能性
- 「いいね」する可能性
- リール動画に使われている音源ページに移動する可能性(自分もリール動画を作ってみたい気持ちになったかどうか)
4つのアクションを再現するためにやるべきこと
リールで重視されているアクションを投稿に落とし込み、具体的にやるべき対策は下記です。
- シェアしてもらえるような題材にする
- 動画を最後まで見てもらう
動画の最初もしくはサムネイルに興味を引くタイトルをつける
動画の最後に特典を用意し動画冒頭で告知する
動画の最後に話の結論を伝える構成にする - 動画を作ってもらう
旬なBGMを使う
流行しているミームを使う
投稿の表示を左右するコミュニティガイドライン
ここまで投稿がユーザーに表示されることが重要ということをお伝えしましたが、投稿の優先順位付けですべての投稿で参照され、影響度が大きいのがコミュニティガイドラインです。
Instagramのミッション「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」にもあるように、Instagramは利用者が興味を持ちそうなコンテンツやクリエイターをおすすめすることを目的にコミュニティを運営しています。
莫大な情報の中からユーザーが安心してInstagramを利用できるようにコミュニティガイドラインが適用されており、違反した場合は、投稿の削除やアカウントの一時停止などの措置が取られることがあります。
投稿においてコミュニティガイドラインに違反するとされたものは、フィードとストーリーズに関しては下位表示され、発見タブやリールなどのおすすめに関してはおすすめ表示をするのを避けるようになっています。違反を繰り返している場合は、アカウント自体すべての投稿がおすすめの対象外となることもあります。
上記に付随してシャドウバンに関しても同様で、明確な理由がなく意図的に表示回数を減らしたりするようなことはないようです。
なので投稿の表示(リーチ)が増えない場合は、まずはコミュニティガイドラインに違反していないか確認してみるのも1つの方法でしょう。また、そういった場合に原因が明確にわかったり、異議申し立てをしたりできるようにアカウントステータスを確認できるようになっています。
アカウントステータスの確認方法
自分のアカウントやコンテンツがInstagramでおすすめされる条件を満たしているかどうかアカウントステータスで確認することで、ユーザーが事前にアカウントやコンテンツの問題に気づき予防・対処することができます。
- Instagramアプリを開き右上の「三」を選択し、「設定とプライバシー」を選択。
- 設定とプライバシーの中から「アカウントステータス」を選択。
- 「削除済みコンテンツ」「おすすめできないもの」「利用できない機能」それぞれでアカウントの状況を確認できる。
- 各ステータスに問題がないか確認。
まとめ
ここまでアルゴリズムに関して細かく解説してきましたが、重要なことは以下3つです。
- Instagram運用で成果を出すためには、まずInstagram内で投稿を表示させ露出を増やすことが重要
- 表示・露出を増やすためにはアルゴリズムを意識し、シグナルを溜めていく
- 表示が少ない場合はコミュニティガイドラインに違反していないか確認する
冒頭でInstagram運用ではフォロワー増加や認知度向上など、どんな目的で運用していたとしてもInstagram内で投稿を多くのユーザーに表示させることが重要だということに触れました。
その表示を増やすために重要なのがここまで解説してきた「アルゴリズム」という考え方で、表示順位を判断するための情報「シグナル」を使って表示順位を決定しています。
つまりいかにユーザーとの親密度や関心度を高め、シグナルを溜めていけるかが表示を増やすカギになります。
また、フォローされるまでの全体の流れのなかでアルゴリズムを考えてみましょう。
- 一部のフォロワーに投稿が表示される
- エンゲージメントされる【様々なシグナルで表示順位を決める】
- より多くのフォロワーに表示される【シグナルによってホームでの表示が増える】
- エンゲージメントされる【様々なシグナルで表示順位を決める】
- 発見タブやハッシュタグの人気投稿に掲載される【シグナルによって発見タブでの表示が増える】
この図を見るとわかるようにアルゴリズムは局所的に、例えば発見タブだけ意識すればよいわけではなくフィード(ホーム)、ストーリーズ、発見タブ、リール全てにおいて意識すべきことです。
上記の場合、まず最初に投稿が表示されるのはフィード(ホーム)になるので②「エンゲージメントされる」の部分では、フィードで重要視されるシグナルを意識して投稿することが重要です。
さらに非フォロワーにも表示を増やしていきたい場合には、発見タブに表示させる必要があります。④「エンゲージメントされる」の部分では、発見タブで重要視されるシグナルを意識して投稿することが重要です。
これらの流れを踏まえて投稿を企画できるとなぜ表示(リーチ)が増えていかないのかなどの要因特定にもつながります。
また、表示が増えない場合にはコミュニティガイドラインに違反していないかも確認しましょう。コミュニティガイドラインに違反していると投稿の表示順位を下げることが明記されています。
なんとなく投稿を作成していた方は、これらのアルゴリズムを意識して作成してみましょう!投稿の企画の意識が変わり、振り返りもしやすくなります。