近年、スマートフォンやインターネットの普及によりECを利用するユーザーが増加している傾向にあります。さらにコロナの影響も後押しとなりアフターコロナ後もEC市場は拡大し続けています。
世代ごとにみてもEC利用者の割合は増加しており、2021年の調査では「インターネットショッピングを年1回利用する人の割合の推移」は10代〜70代まで幅広く増加していることから、全世代のユーザーにECが普及していることがわかります。
ECの増加に伴ってInstagramにおいても従来のコミュニケーションツールとしてだけではなく、EC企業のブランドや商品の購入のきっかけとして利用される動きが活発になってきています。
しかし、EC事業者の中には「全体的なアカウント設計が難しい」「投稿や企画の具体的なアイデアが思いつかない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではEC企業の中でも実店舗を持たずに新規ユーザー獲得や既存ユーザーのファン化・LTV向上の施策に成功しているであろうアカウントを厳選してご紹介します。
他社の成功事例を知ることで具体的な運用イメージが湧くだけではなく、成果につながるアカウントを育てることができます!
ECアカウントの運用にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
KPIは運用目的によって変わる
アカウント運用を成功させるためには運用目的や、業界ごとに方針やKPIが異なるということを前提知識として持っておく必要があります。
その上で自身のアカウントに最適な戦略や施策を設定しましょう。
ECアカウントを利用するユーザーのInstagram活用
ユーザーがInstagramを活用する理由
ECが普及する中、ユーザーがInstagramを活用する目的も「好きなものや人とのコミュニケーション」から「商品購入のきっかけづくり」へと変化してきています。
実際にInstagramがきっかけで商品を購入した経験があるか?というアンケートには38%の人が「ある」と回答しています。
特に10代~30代の女性では50%~60%の人が「ある」と回答しており、一定のユーザーでは購買体験が大きく変化していることがわかります。
これまでインターネットショッピングを利用する際は、Google検索やECモール、気になるブランド・商品のECサイトを直接検索する方法が主流でしたが、ユーザーが Instagramも活用するようになった背景としてはお気に入りのブランド・商品の定期的な情報収集・新しいブランド・商品との出会いを求めているからです。
普段買っているブランドの新作商品やイベントの情報収集・購入
ストーリーで最新情報や告知を知る
「お気に入りに追加」機能にアカウントを登録する
▼「お気に入り」機能の画面
Instagramアプリで任意のアカウントのプロフィール欄へ行くと「フォロー中」から「お気に入り」登録する画面へ遷移することができます。50件まで自由に登録することができるので新作情報やセール情報などをいち早く欲しいアカウントがある場合はとても便利な機能です。
まだ出会っていない新しいブランドの認知・購入
発見タブや広告から新しいブランドを認知する
お気に入りのインフルエンサーのPRなどから認知する
ユーザーのInstagram検索方法
ユーザーがInstagramを利用する時は欲しいものが決まっているか・いないかのシチュエーションによって下記の検索方法に分かれます。
欲しいものが決まっている時(計画的)
ハッシュタグ検索(タグる)
ユーザーが気になるブランド・商品を探す時はハッシュタグを活用しています。ハッシュタグを使った検索=タグるとも言われています。気になるブランドや商品・カテゴリーの名前(#GUコーデ #ノンシリコンシャンプー)を検索し、その商品の詳しい情報やリアルな口コミ・評価といった情報を集め、購入前の判断材料にしています。
#GUコーデ #ノンシリコンシャンプー
そのブランド・商品の情報を網羅的に集めたい時に活用します。
この検索方法は特定のブランドや商品が気になる、もしくは買いたいと決まっている場合、情報を効率的集めることができます。ブランドや商品の詳しい情報(サイズ、カラー展開、価格、ディテール)また実際に使用したユーザーの口コミなどを一気に見て選びたいという時に便利です。
欲しいものが決まっていない時(偶発的)
発見タブ
発見タブで気になるブランドや商品と出会うことができます。
発見タブではユーザーが日頃見ている投稿の中から興味関心が高い投稿がランダムで表示されるため、新しいブランドや商品と出会う確率も高まり、購入意欲を刺激されます。
インフルエンサー
お気に入りのインフルエンサーの投稿を見てまだ知らないブランドや商品と出会うことができます。
インフルエンサーの方がタイアップ投稿や企業とのコラボ商品をPRしているため、そのインフルエンサーをフォローしているユーザーは偶発的にブランドや商品を知ることになり購買につながるきっかけになります。
広告
フィードやストーリーズで表示される広告からブランドや商品を認知し購入することもあります。
ユーザーは企業が出稿している広告を知らず知らずのうちに何度も目にしています。広告はフィード投稿やストーリーズ、発見タブにランダムに表示され、気になる広告が出てきた時にリンクから商品ページへ遷移して購入することができます。
▼ Instagramの広告例
ECアカウントを利用する企業のInstagram活用
企業がInstagramを活用する理由
ユーザーがInstagramを使って商品を購入することが普及してきている中、企業におけるInstagram活用の重要性も高まってきています。
EC事業を行っている企業に対して活用しているSNSを聞いたところ69.8%の企業がInstagramと回答しています。
自社のECサイトやECモールへの集客を低コストで始められる
企業が自社のブランドや商品を販売する際、通常であれば人件費や宣伝費、実店舗の費用など莫大なコストが発生します。
一方で Instagramは無料でアカウント開設ができ、広告を検討している場合でも低予算で始められるため予算を抑えつつ販路を広げたい企業にとって魅力的なツールといえます。
最近ではこのメリットを最大限に活かしあえて実店舗を持たずに事業を行っているEC企業もあります。
新規ユーザーの獲得を狙える
Instagramを活用することで新しい世代・性別といった潜在層のユーザーを獲得する可能性が広がります。
前述したように Instagramを利用しているユーザーは発見タブや、インフルエンサー、広告をきっかけに商品購入に至る場合が多いため、 Instagramをうまく活用できれば今までの販売方法ではリーチできなかった潜在層にまで自社のブランドや商品をPRするポテンシャルを秘めています。
既存ユーザーのファン化・LTVの向上を狙える
Instagramの特性や機能を最大限に活かして既存ユーザーのファン化・LTV向上を図ることも可能です。
元々コミュニケーションツールとして活用されていた Instagramにはユーザーと活発に意見交換ができる機能が豊富にあります。例えばストーリーズのスタンプ、アンケート、リアクション機能、またLIVE配信、DMなどを駆使することでユーザーの意見を取り入れた商品開発や、購入前の質問・要望などを行うことができます。購入前後にコミュニケーションを活発にとることでECサイトで購入するだけよりも満足度の高い購入体験を提供することができます。
企業のInstagram活用方法
企業が Instagramを具体的にどのように活用しているのか紹介します。
新規ユーザーの獲得
- インフルエンサーや広告を活用して自社ブランド・商品のリーチ獲得
- 新商品やPOPUPイベントの告知など最新情報を発信
- ショッピング機能を使ってすぐに商品購入ができる導線を設置
- プロフィール欄に自社ECサイト・ECモールへの導線を設置
既存ユーザーのファン化・LTVの向上
- 新商品の情報をいち早く投稿で発信
- ストーリーズでアンケート募集し、ユーザーと共同で商品開発
- Instagramライブを活用して商品の紹介・購入の促進
- ユーザーからの質問・要望をコメントやDMなどで対応
- インフルエンサーを活用して商品の新しいニーズの発信
- キャンペーンやオリジナルハッシュタグを活用してUGCを発生
ECアカウントにおける Instagram成功事例
Hasami Life
運用の特徴
- 長崎県波佐見焼の魅力をメディアとして伝える面白いアカウント設計
- 波佐見焼の窯元が商品に込めた想い・こだわりを発信することで波佐見焼のブランド価値を高め、ファンを作り出す狙い
- 波佐見焼の美しさ、デザイン性が引き出された魅力的な写真が多くカタログのように楽しめる
運用の成果
- フォロワー2.2万人
北欧、暮らしの道具店
運用の特徴
- 北欧の穏やかな暮らしをイメージさせる世界観で統一されたアカウント設計
- 洗練された美しい写真やローテンポのリールで商品の魅力を伝える工夫
- ショッピング機能を活用してユーザーを効果的に商品購入へ誘導
運用の成果
- フォロワー130.7万人
- #北欧暮らしの道具店は8.7万件
pairmanon (ペアマノン) リンクコーデ子供服
運用の特徴
- 家族とリンクコーデが楽しめる子供服をおしゃれな投稿で紹介
- コーデ投稿だけではなく新作告知やセールのお知らせなども積極的に紹介し既存ユーザーのLTVに貢献
- コメント欄では質問や感想を募集しユーザーとの活発なコミュニケーションを図る
運用の成果
- フォロワー25.7万人
- #pairmanonは1.8万件
《公式》IROIKU|イロイク
運用の特徴
- 「ジェンダーフリー」な美容液という斬新なコンセプト設計
- 男女それぞれにアンバサダーを起用して潜在層へブランド認知を広める施策
- 「レビューシート」や「カラーチャート」をストーリーズで紹介しUGCを集める狙い
運用の成果
- フォロワー数4283人
- #iroikuは1708件
Cake.jp【ケーキ専門通販サイト】
運用の特徴
- トレンド感のあるリールの構成で若者向けにケーキの魅力を発信
- キャラクターやアニメとのコラボケーキ、推し活のケーキなど若者に刺さりやすい多種多様な映えケーキを投稿
- 誕生日やお祝いに限定しない新しいケーキの可能性を広げる構成
運用の成果
- フォロワー8.5万人
- #cakejpは1.7万件
パンスク @全国から届く冷凍パンの定期便
運用の特徴
- 定期便に入っているパンとそのパン屋さんの紹介をして全国のパンの魅力を発信
- 「パン屋さんTOUR」というコンテンツでパン屋さんのこだわりや想いなどを発信しブランドのファンを獲得する狙い
- ハイライトには定期便を利用したユーザーの投稿を集めて紹介しLTV向上を図る
運用の成果
- フォロワー数1.8万人
- #パンスクは4379件
- ニュース番組で多数紹介
ココグルメ |獣医師監修の手作りドッグフード
運用の特徴
- 愛犬の健康に関する豆知識とかわいい愛犬の写真をバランスよく投稿
- プレゼントキャンペーンやフォロワー参加型の企画が豊富でUGCを量産
- 愛犬の写真で作るカレンダーやオリジナルリール音源、ココグルメの商品を活用した映え写真のアイデアなど、ユーザーがココグルメのファンになる仕組みづくりに成功
運用の成果
- フォロワー2.5万人
- #ココグルメは2万件
- TVやメディアで多数紹介
自社アカウントをいち早く成果につなげるなら他社分析が重要!
ECサイト利用者が増えてきている中、写真や動画でブランドや商品の魅力を効果的に伝えられるInstagramとの相性は抜群です。
しかし、うまくアカウント運用ができず悩んでいる企業も多くいらっしゃるのが現状です。
今回紹介したような他社の成功事例を知り自社の運用に落とし込むことで成果の出るアカウント運用に近づくことができます。
他社のアカウントを分析するのは工数がかかりとても大変な作業ですがSINIS for Instagramの「競合アカウント分析」機能を活用することで簡単・効率的に分析することができます!
ぜひ、自分たちのアカウントで実践してみてください。