Instagram運用を効率的に行うためには、運用の成果の確認が必要です。運用成果を数値化せず、感覚的に行ってしまうと、アカウントの健康状態や今後の改善案が見えてこず、的外れな運用を行ってしまう可能性があります。
運用成果の確認にはレポートが便利です。定期的にレポートを作成して運用成果を可視化し、社内で共有すれば、アカウントの運用方針や投稿施策の改善について、合理的な決定を下すことができます。
とはいえ、レポートの作成は簡単ではありません。Instagram運用におけるレポートを作成するためには自社のアカウント運用の目的を明確化し、目的達成のために見るべき指標を把握することが重要です。
今回はInstagram運用において大切になるレポート作成について解説していきます。今回の記事を読めば、レポート作成に必要な基礎知識や盛り込むべき具体的な指標などが分かります。今回の記事を読んで、アカウントの成長に繋がるレポート作成を目指しましょう。
Instagram運用ではレポートでアカウントの運用成果を把握することが重要
Instagram運用では、アカウントの運用成果を把握することが重要になります。なぜなら、運用成果を把握できていなければ、目的に近づいているのかも分からないからです。
企業のInstagram運用では運用の目的を定め、施策の改善を繰り返すことで目的達成に近づいていくことが重要になります。しかし、運用を続けているうちに本来の目的を見失ってしまい、運用自体が目的となってしまうことも多いです。
上記のような状態を防ぐためには、定期的に運用成果を可視化して、把握しておくことが重要になります。レポートを活用すれば運用成果を可視化することができ、今後の方針決定や施策の改善を合理的に行うことが可能です。
レポートを作成すれば運用成果を数値で客観視できる
レポートを作成すれば、運用成果を数値で客観視できます。数値を把握せずにInstagram運用をしていると、投稿の反響やフォロワーの増加の要因などを感覚的かつ主観的に考えてしまいがちです。
アカウントの運用目的に合った数値をピックアップしたレポートを作成すれば、数値をもとに反響のあった投稿や施策成功・失敗の要因などを分析することができるので、より効果的なPDCAサイクルを回すことができます。
レポートを社内で共有すればアカウントの現状を共有できる
レポートは客観的な分析だけでなく、社内での情報共有にも活用できます。チーム内での報告にレポートを利用すれば、全員が同じ目線で運用の改善案を考えることが可能です。また、今度の運用方針について上申する際にレポートを作成すれば、上長が方針の合理性を数値で判断できるようになるので、提案が通りやすくなる可能性が高いです。
加えて、レポートによって数値をもとに分析する文化が社内に根付けば、感覚的な判断を排除することができるので、属人化しない業務環境を作り出すことができます。以上のように、レポートの作成はアカウントの運用だけでなく、社内の業務全体に好影響を与える可能性があるのです。
代理店の場合は顧客への報告時にレポートが必要なケースが多い
代理店の場合はアカウントの運用報告を顧客に行う際に、レポートが必要になるケースが多いです。運用代行の報告では、運用成果を曖昧な表現で伝えるのはNGです。顧客が納得する報告をするためには数値から得られる根拠に基づいた情報を提供する必要があります。
報告に根拠を持たせるためには、ファクトとして数値に関する情報を顧客に提供しなければいけません。レポートを作成すれば、全員が同じ情報を持った状態で報告を行えるので、顧客に運用成果を納得してもらいやすくなります。
Instagramでレポートを作成する前に認識しておきたいこと
Instagram運用においてレポートを作成するためには、以下の2つを認識しておく必要があります。
- アカウントの運用目的を再度把握する
- 運用目的を果たすために重要になる指標が何かを理解する
上記の2つを認識しておくことは、レポートを作成するうえでも非常に重要な要素となるので、定期的にチェックして忘れないようにしましょう。
アカウントの運用目的を再度把握する
レポートを作成するためには、アカウントの運用目的を把握しておくことが大切になります。なぜなら、運用目的を把握できていなければ効果的な戦略を立てることが難しくなるからです。Instagramを運用していると、フォロワー数にばかり注目してしまうこともあるでしょう。しかし、企業がInstagramを運用する目的はフォロワー数の増加だけではありません。
フォロワー数の増加はあくまで手段であることが多いです。自社サイトへの流入やファンマーケティングなど、本来の目的は別のところにあるのですが、フォロワー数に意識を向けすぎると、本来の目的を忘れてしまうことがあります。
運用目的がしっかりと把握できていない状態でレポートを作成をしてしまうと、的外れな数値をピックアップしてしまう可能性があり、本来の目的達成が遠ざかる可能性があるので、レポートの作成を開始する前に、アカウントの運用目的を再度把握しておきましょう。
運用目的を果たすために重要になる指標が何かを理解する
レポートを作成するときは、目的を達成するために重要となる指標が何かを理解しておかなければいけません。なぜなら、不必要な指標を取り入れると、本質から離れてしまう危険性があるからです。必要ない指標はレポートに記載しないことも大切になることを覚えておきましょう。ただし、基本情報として押さえておきたい指標もあるので、選別は自社の目的に合わせて慎重に行ってください。
重要な指標を理解することができれば、目的に合わせたKPI設定も簡単になります。KPIとは最終的なゴールまでのプロセスにおける目標達成のことです。
設定すると進捗具合が分かりやすくなるだけでなく、状況に合わせた対応が可能になるので、目的を達成するためにはKPIの設定が重要になります。
なお、KPIに関しては下記のページにて詳しく解説しているので、気になる方はご一読ください。
Instagram運用のレポートを作成する際に盛り込みたい8つの指標
Instagram運用のレポートを作成するときに、盛り込みたい指標は以下の8つです。
- フォロワー数の推移
- 各エンゲージメントの数
- リーチ数
- エンゲージメント率
- プロフィールアクセス数
- フォロワー転換率
- 自社サイトへの流入数
- 投稿のインプレッション内訳(流入経路)
上記の8つの指標は重要な役割を持ちますが、すべてをレポートに記載する必要はありません。なぜなら、情報が多すぎると本質から外れてしまう危険があるからです。
ただし、各指標が意味するものを理解しておかなければ、自社の目的に必要な指標かどうかを判断することはできないので、まずは各指標について理解を深めていきましょう。
フォロワー数の推移
Instagramの運用目的は企業によってさまざまですが、フォロワー数の推移は、多くの目的において重要な役割を果たす指標です。しかし、フォロワー数の推移だけでは足りない部分があります。なぜなら、レポートにおいて重要なのは成果を把握することにあるからです。
フォロワー数をレポートに記載するのであれば、フォロワーの純増数、増加数、減少数についても記載すると、現状をより正確に把握できるようになります。
フォロワー数が増えていると、結果がでていると考え、分析は必要ないと考えるかもしれません。しかし、本当に大切なのは現状を正確に把握することです。投稿内容によって、フォロワー数が増減したのであれば、理由を知ることで後々の運用に役立てることができます。
レポートには、総フォロワー数だけでなく、増加数や減少数も記載しておくようにしましょう。
各エンゲージメントの数
Instagram運用においてエンゲージメント数は重要になります。なぜなら、エンゲージメントの数はユーザーが反応した数になるからです。Instagramにおけるエンゲージメントは「いいね」・保存・コメントがあるので、全体数だけでなく各エンゲージメントの数値を記載するようにしましょう。
各エンゲージメントには、特徴があり、エンゲージメントごとの数値を記載していくことで、アカウント成長に必要な改善点が見えるようになってきます。狙ったエンゲージメントを高めていく施策を実施すると、効果の有無を確認できるだけでなく、効果が高かった投稿内容を把握していくことが可能です。
各エンゲージメントの数値を記載して、現状のアカウントに足りない部分が何かを見つけて効果的な施策を実施していきましょう。
なお、各エンゲージメントの特徴や高めるための施策については下記ページにて詳しく解説しているので、参考にしてください。
リーチ数
リーチ数とは、投稿を見たユーザーの数のことでInstagram運用において基本となる数値です。エンゲージメントやフォロワーを増やすためには、まず投稿を見てもらう必要があります。つまり、リーチ数がすべての入り口だということです。
リーチという母数が増えることで、エンゲージメントやフォロワーが増えていくことになるので、レポートには必ず記載するようにしてください。
なお、リーチ数についての基礎知識や増やすためのポイントについては、下記ページにて解説しているので、参考にしてください。
エンゲージメント率
エンゲージメント率とは、投稿に対してユーザーがどれくらい反応したのかを示す指標のことです。基本的な計算式は以下の通りです。
上記の計算式では、母数は投稿を見た人です。ただし、状況によっては分母をインプレッション数(投稿が見られた数)や、フォロワー数に置き換える場合もあります。
母数をフォロワー数にすれば、フォロワーのエンゲージメント率を知ることができるので、フォロワーの反応を知ることが可能です。
母数を決めるさいには、目的に応じて変更していく必要があるのですが、分析をしていくうえでは、連動性が大切になるので一度設定した母数は変更しないようにしましょう。
なお、より詳しい分析を行いたい場合には、複数のエンゲージメント率を算出してレポートに記載しておくことをおすすめします。
プロフィールアクセス数
プロフィールアクセス数も、重要な指標となります。なぜなら、プロフィールへのアクセスはフォロワー増加において、重要なポイントになるからです。
ユーザーが投稿を見て興味を持てば、他の投稿を確認するためにプロフィールにアクセスして他の投稿を確認します。他の投稿を見て、更に興味を持てばプロフィールを見てフォローするのかを判断するので、プロフィールのアクセス数はフォロワー増加につながる重要なポイントになるのです。
プロフィールアクセス数が増えればフォロワー増加に繋がる可能性も高まるので、フォロワー増加が目的の手段である場合には、レポートに記載しておくことをおすすめします。
なお、プロフィールアクセス数が多いのにフォロワーが増加しない場合は、プロフィールに問題があるケースもあるので、プロフィールの見直しを行い、必要に応じて内容を変更しましょう。
フォロワー転換率
プロフィールを見たユーザーの何人がフォローしたのかを示すのが、フォロワー転換率です。フォロワー転換率はフォロワー増加数÷プロフィールアクセス数で算出できます。
プロフィールを閲覧したユーザーの何割がフォロワーになったのかが分かるので、アカウントにとって重要な指標です。
フォロワー増加をポイントとしていてる場合は、ゴール直前の大切な指標となるので、レポートには必ず記載しておきましょう。
なお、フォロワー転換率が低い場合は、プロフィール内容に問題があるケースも考えられるので、ユーザーにとってのメリットが一目でわかる魅力的なプロフィールを考える必要があります。
自社サイトへの流入数
Instagramを運用する目的によっては、自社サイトへの流入数は非常に重要です。自社サイトの流入数をチェックしていくと、流入数増加に繋がった投稿が分かるようになるので仮説を立てて検証していくことで流入数を増やす投稿内容を把握することが可能です。
また、自社サイトへの流入数をチェックするときにはプロフィールアクセス数もセットでチェックしておくことをおすすめします。なぜなら、基本的に自社サイトへの流入はプロフィールページのリンクからが多くなっているからです。プロフィールアクセス数の何割がサイト流入に繋がっているのかもチェックしておきましょう。
投稿のインプレッション内訳(流入経路)
投稿内容を分析する上では、インプレッションの内訳も重要な指標になります。内訳を確認することで、投稿が表示されるまでの経路が分かるのです。たとえば、タイムラインに表示された投稿をユーザーが見ると「ホーム」にカウントされます。
なお、確認できる内訳は以下の通りです。
- ホーム
- 検索:検索から表示された回数
- ハッシュタグ:ハッシュタグ検索から表示された回数
- 地域:スポットからの表示回数
- プロフィール:プロフィール画面から表示された回数
- URL:URLの直接入力によって表示された回数
- DM:DMでシェアされた回数
- 保存:保存から見られた回数
- シェア-1:ストーリーズでシェアされた回数
- シェア-2:別のアプリでシェアされた回数
内訳を確認することで課題が見つかるので、インプレッション数を増やしたい場合には、レポートに内訳を記載して対策を考えていきましょう。
Instagramのレポートを作成する際に活用したいツール
レポート作成は、エクセルやワードでも作成できます。しかし、エクセルやワードの場合、データを抽出したり管理するための手間と時間が必要です。また、データの抽出を人の力で行うと人為的なミスが発生する可能性もあります。
しかし、ツールを活用すれば人為的なミスを防げるうえに、手間と時間を大幅に削減することが可能です。レポートを作成していくのであれば、ツールの活用を検討しましょう。次章からはInstagramのレポート作成において役立つツールを紹介していきます。
Instagramインサイト
Instagramが無料で提供している分析ツールがインサイトです。インサイトを活用すると、レポート作成に必要な数値を確認することができます。Instagramが提供しているうえに、無料で利用できるので、分析ツールを使ったことがない企業でも気軽に始めることができるのが魅力です。
なお、インサイトを使うためにはアカウントをプロアカウントに切り替える必要があるので、アカウントの切り替えを行っていない場合は、アカウントの切り替えを行っておきましょう。
Instagram分析ツール
Instagramの分析に特化したツールを活用すると、指標の確認だけでなく、改善策を実施したときの効果検証も簡単になるので、分析にかかる手間と時間を大きく削減できます。分析ツールを使えば、データの集計や並び替えも簡単にできるので、さまざまな角度からの分析ができます。
集計やグラフ作成も簡単にできるので、分析自体に時間を割くことが可能です。結果、効率よくアカウントを成長させていくことができます。
しかし、分析ツールと一括りにしても、多くの分析ツールがあるので、何を基準にして選べばいいのか分からない担当者もいらっしゃるかもしれません。使用する分析ツールを選ぶときは、無料期間を活用して使いやすさを確認しておきましょう。
基本的に、分析ツールは無料で試せるトライアル期間が用意されているので、気になるツールがある場合には、複数のツールを試してから選択するのがおすすめです。
まとめ:レポート作成によってアカウントの現状を把握して改善点を探そう
Instagram運用には、明確なゴールはありません。だからこそ、現状を把握しておくことが大切になるのです。現状を把握することで問題点が見えてきます。問題点が分からなければ、改善ポイントも見えません。そして、改善することができなければ、アカウントの成長は難しくなります。
Instagram運用の成果を高めるためにも、日頃からの分析と改善を重ねていきましょう。より精度が高い分析を実施したい場合は、分析ツールの導入を検討するのも1つの方法です。